【レビュー】ハーバード・ビジネススクールの<人間行動学講義>

今月の(6月)月間選書で届いた本です。
そのうちキャンペーンが組まれ、宣伝されると思います。
表紙はショッキングピンクで、神田昌典の「あなたの会社が90日で儲かる!」を想起させる。(なお、この本は名著なので未読の方は読んでみることを薦めます)

この本が届いたとき、正直言って、私の頭の中は、「?」という状態だった。
ダイレクト出版はビジネスの本をだすのに、なぜ「人間行動学」なのだろう。ゲリラ的な中小企業向けの本が多かったのに、なぜここにきて「ハーバード・ビジネススクール」なのだろう。そんな本は日本の書店にたくさんあるし、「人を突き動かす4つの行動」というサブタイトルも全然魅力的ではない。ダイレクト出版のラインナップにこの本が並んでいても、私が買うのはきっと最後だろう。他の本のタイトルに比べ、あまりにも魅力がなさすぎる。

ところが、読み進めてみると……とアメリカ式の広告コピーのように話を続けたいところだけれど、内容は読めば読むほど意味がわからない。
まず前書きからして、いきなりつまらないし、「それ、なんかビジネスと関係あるの?」という一言に尽きる。

人間には4つの行動原理があり、それらは、「獲得衝動」、「親和衝動」、「学習衝動」、「防衛衝動」の4つに分類され、それらがあらゆる行動の基礎となるという。思うに、ビジネス的には私の今の一行の要約で充分なはずで、私たちにとって必要なことは、この4つの行動原理をどうビジネスや広告に絡めていくかということであって、人間の行動原理がなぜこの4つに集約されるかという部分ではない。それなのに、この本は、論証にほとんどページを割き、社会科学を研究したいわけでもない私は、ポカンと口をあけることになる。ビジネスのセミナーに参加したら、大学の講義に出てしまったような感じがする。

したがって、残念ながらこの本はまったく役に立たない。

本の内容がよくないのではなく、問題点は、むしろこの本がダイレクト出版によって出されたことにある。
ダイレクト出版から出ていくから、多少、おもしろくなさそうなタイトルでも買うのであって、こんな本が書店のビジネスコーナーにあっても見向きもしないだろう、ひとたび本をめくってみれば、この本がいかに事業に役に立たないかはものの数秒でわかる。この本をわざわざ翻訳してまで出版するダイレクト出版の意味がまったくわからない。

というわけで、まったくお薦めしませんし、クソ本ならクソ本で「こんなこと言ってるよー、キャハハ」的な盛り上がりもあるのですが、本の内容はまともといえばまともだし、「退屈」という一言に集約されるので、おもしろくdisれるわけでもなく、何の使い道もない。
唯一の楽しみは、ダイレクト出版が、このまるでおもしろくない本をどのように宣伝してくるかというところでしょうか、ああ無念!

最後に本の帯にあるコピーを引用しておきます。

「本書は学問分野の境界線を大胆に飛び越え、最新の生物学研究がいかに人間の本質や社会的行動の解明に役立つかを示している。社会科学者は、この重要な研究に注目すべきである」(太字は私)

学問分野の境界線を飛び越えるのは構いませんが、ビジネスとアカデミーの境界線も一緒に飛び越えてほしかった。飛び越えたのかもしれませんが、ジャンプが大きすぎて、よく見えませんでした。

最新の生物学研究の本というのがここでわかるのですが、いくらチンパンジーの例を出されても、もっと近い日本人とかアメリカ人とかそういう例もだしてほしかったです。

私たちは社会科学者ではありませんし、売り込む先が間違っているとしか思いません。

しかも、これ定額サービスで一方的に送られてくるんですよ!
納得いかない!あぁ、不満!!

評価:0点(採点基準を満たさず)

ある実験では、次のような2つの世界のうち、どちらに住みたいかという問いが投げかけられた。
1つは、自分の収入が9万ドルで、隣人の収入は10万ドルという世界。
もう1つは、自分の収入は11万ドルだが、隣人の収入は20万ドルという世界だ。ちなみにどちらの世界も物価は変わらない。
すると、被験者は前者を選ぶ傾向が強いことが分かった。
こうした行動は、効用の最大化という一般的な人間行動モデルとは相反するものである
― 絶対的には、9万ドルの収入よりも、11万ドルの収入をもらったほうが、被験者は得をするはずだからだ。
だが,この実験が示すように、人間にとってより大事なのは,相対的な地位なのである。
『ハーバード・ビジネススクールの人間行動学講義』(P.108)

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